タクシーの給料の足切りについて

タクシードライバーの給料を決める仕組みの一つに足切りというものがあります。何やら怪しそうな雰囲気のする用語かもしれませんが、これはどういう意味なのかと言えば、分かりやすい言葉ではノルマのことです。ただ、誤解してはいけませんが、足切りつまりノルマを達成しないと給料がゼロになるとか、何か懲罰的なことが待ち構えているとか、ノルマを達成するまで仕事を終えて家に帰ることができないなどといったことは全くありませんからその点は安心して下さい。タクシー会社といえども労働基準法など働き方に関する法律が適用されることは言うまでもなく、そのようなブラック企業的なことは絶対にありません。

前置きをした上で、足切りについて具体的に説明しましょう。タクシー会社では、固定給に加えて歩合給という仕組みで給料が支払われることが多いですが、この歩合給を計算する際に、自分の売り上げから差し引かれる金額が即ち足切りということになります。実際の数字を挙げて説明しますと、例えば固定給が15万円、足切りが40万円、歩合率が60%というタクシー会社があったとしましょう。そして、その会社で働くあるドライバーのその月の売り上げが60万円であったとします。この場合、歩合率が60%であるからと言って、売り上げ60万円の60%、つまり36万円がそのまま固定給の15万円に上乗せされて支給される訳ではありません。足切りとして設定されている40万円を60万円から引いた20万円について、歩合率の60%が適用されるのです。つまり歩合給は12万円となり、これに固定給を加えた合計27万円がその月の給料ということになるわけです。

このように足切りとは、歩合給を計算する際に、その金額を超えた部分についてのみ歩合が適用されるというラインのことを指します。今の例ですと、売り上げ40万円を超えた部分についてのみ、その60%を歩合給として支給しますということです。売り上げが40万円ちょうどでは歩合給はゼロです。ただ、売り上げ40万円未満であったからと言って歩合給がマイナスになるようなことはなく、固定給の15万円はその場合でもそのまま給料として受け取ることができます。足切りとかノルマなどと言われると何かプレッシャー的な感覚を受ける人も多いでしょうが、多くのタクシー会社に設定されているごく普通の慣習ですし、最初にも書いたとおり未達成だからと言って何か特別なペナルティがある訳でもありません。また、タクシー運転手の月収は普通に乗務していればまず達成できるレベルに設定されている数字ですから、あまり深く考えることなく受け止めておくのが良いでしょう。